変態ドリーマー V.S. マンモーニ殺人鬼


フレディ VS ジェイソン
FREDDY V.S. JASON


アメリカ、2003年 98分 カラー

監督 ロニー・ユー
製作 ショーン・S・カニンガム
製作総指揮 ロバート・シェイ
        ダグラス・カーティス
脚本 マーク・スィフト
    ダミアン・シャノン
出演 ロバート・イングランド(フレディ)
    ケン・カージンガー(ジェイソン)
    モニカ・キーナ
    ジェイソン・リッター
    ケリー・ローランド
    クリス・マークエット 他
配給 日本ヘラルド映画 


[あらすじ]
 かつてエルム街を恐怖の深淵にたたき落としたフレディ・クルーガー。
 しかし街の大人達が箝口令を敷き、彼の伝説が次世代に伝わらないよう情報封鎖を行った事によって、いまや"悪夢の主"は存在自体を忘れ去られようとしていた。エネルギー源である人々の恐怖を吸収できず枯渇化したフレディは、クリスタル・レイク近くの森に眠る不死身の連続殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズを蘇らせて操り、エルム街で殺人事件を起こさせる。
 フレディ・クルーガーの再来をほのめかせて街の住民の恐怖を煽ろうとするその企みは半ばまで成功したが、ジェイソンが予想を超えた暴走を示し、フレディの狙っていた獲物まで勝手に殺しはじめてしまった。フレディは怒り、ジェイソンを再び死の床へ就かせようと襲いかかるが……。


[review]
 悪くない……というか良いぞ良いぞ良いじゃないか! これは一体どういう事だ!?
 『「エルム街の悪夢』『13日の金曜日』両タイトルに出てくるモンスター達の全面対決という売り文句から予想・期待される内容を全く過不足なく描いた展開が満載でして、思いきって血しぶきびゅーびゅー吹き散らかす虐殺シーンを観ていると「ああ、大外しにならなくて良かったなぁ」と心地よい安心感に浸ってニヤニヤ笑うことが出来ましたよ。

 全体通してかなり記念作品的なテイストが強い(お約束を知っていればいるほど楽しめる)ので、やっぱり事前にエルム街と13金シリーズから各々最低ひとつふたつずつくらいは予習しておくべきではありますが、キャラクターの情報がきちんと劇中で消化されているおかげで「ジェイソンとフレディ? 名前くらいは知ってるな……」程度でも充分に面白く感じられると思います。

 これはやはり脚本面で会社が妥協しなかった(そのため企画が遅れに遅れて製作そのものが危ぶまれた)事と、シリーズに対して何の愛着もなかった人間を監督に引きずり込んで世界観を再構築させたのが正解だったのでしょう。

 面白いことに、先だって2002年に公開された13金シリーズ第10作『ジェイソンX』はジェイソン系列の本流でありながら、製作陣の抱くリスペクトが勝ちすぎてシリーズのセルフパロディの様相を呈していました。それに比較して、先入観のないロニー・ユー監督がゼロベースの客観的な視点から撮った『フレディV.S.ジェイソン』は、フレディものとしてもジェイソンものとしても驚くほどに正統的な仕上がりになっています。既存作を聖典ではなくただ純粋に素材、データベースとして扱う冷静な姿勢が、かえって成功を呼んだのでしょう。(ただし、パロディ的姿勢の『ジェイソンX』が悪いわけじゃありません。あれはあれで別ベクトルの面白さがあるので)

 そして、そんな本作で何より評価したいのは対決の場のセッティング。
 バランスのいい配慮が随所に行き届いており、悪夢による精神攻撃を得意とするフレディのフィールドと、圧倒的な膂力による物理攻撃を司るジェイソンのフィールド……それぞれ交互に「地の利」を生かした見せ場が与えられています。とくにクライマックスの不死身怪人同士の決闘は「戦ってる戦ってる! うおお燃えるぜ燃え上がってるぜ!(色んな意味で)」という勢いでボンクラ脳を沸騰させることうけあいのホラーとしては何か間違っている気もするハイテンションなガチンコバトルになっていて、大いに楽しませてくれます。つうかこれ、文法的には完全に格闘アクション映画だよな。


追記:
 パンフレットがかなり悪ふざけがきいてて面白いことになっていました。
 おまけの「みなごろしすごろく」とか、FとJの対談とか。

(以下、パンフより引用↓)

  >ジェイソン (フレディを指さし、お前は最低だという仕草)
  >フレディ このチェリーボーイのマザコン!
  >ジェイソン (いきなり、ナタでテーブルを叩き、そのまま立ち上がる)
  >フレディ 馬鹿力しかとりえがないやつだな。
  >司会者 ちょ、ちょっと待ってください。殺した数ならジェイソンの方が
……
  >ジェイソン (気を取り直して、座る)
  >フレディ 数殺せばいい、ってもんじゃない。俺はジョニー・デップも殺してるんだぞ。


 で、このあと突然ジェイソンが踊り出して『フットルース』をほうふつとさせ、自分がケヴィン・ベーコンを殺した事をアピールしたりします。

 ……ホラー漫才……。



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